ポッピンQを見てきた。
正直な話、面白くはなかった。
劇場に行ったら平日の夕方前というのもあってか中も閑散としていたし、開始10分で隣のおっさんのイビキがこだましてた。
でも、個人的には凄くイイなぁと感じるポイントがあって、自分でも何が良いのか理解できてなかったので家に帰って調べていくうちに何となく分かった事があった。
新たな”東映まんがまつり”を築く
作品の肩書にはこんな言葉が添えられていたのだが、「なるほど。」となる世代の人間は自分の周りには少ないのかもしれない。
それもそのはずで、この東映まんがまつり自体、1989年に行われたのを最後にその後実施される事はなかったはず。(そもそも1989年に自分は生まれていない)
ちなみに内容はというと、子供をターゲットとして、春休み、夏休み、冬休みにかけていくつかの長編映画やアニメを劇場公開するというアニメの詰め合わせのようなもの。
これが当時は大人気だったらしく、一定の世代では見に行った事が無い方が珍しいという具合だそうだ。
作品のリストを見ても非常に納得がいく。各年公開のリストを見ていると基本的には「東映の当時のアニメ数本」+「東映の当時の特撮数本」+「東映オリジナルの長編作品」と言った構成で、まさにアニメの福袋感のある内容だ。
例えば、東映アニメの代表作とも言える「長靴をはいた猫」なんかも”東映まんがまつり”が初出である。
ポッピンQと”東映まんがまつり”
さて、前置きが長くなってしまったのだが、自分は肩書に”東映まんがまつり”の言葉が飛び出して来たことに非常に嬉しい気持ちになったし、納得がいった。
この作品には近年のありとあらゆるアニメ要素を詰め合わせた集合体にしておきながら短い時間の中で話をそこそこまとめるという事が実現されている。ただ、ご都合主義っぽい展開とかツッコミ不在の設定は多く粗さもそれなりに目立つのは欠点ではあるので、”そこそこ”という事にした。
ポッピンQのコンセプトが新たな”東映まんがまつり”を目指すとしたものなら、目標達成は出来ているんじゃないかと思う。少なくとも、制作陣の狙いはこれなのかな…というものは自分なりに見れた気がする。
プリキュアのような思春期少女の葛藤をベースにしながら、途中から東映オリジナルにありそうなトンデモ動物世界観を展開、まさにアニメの福袋感はある。特に自分は長靴猫シリーズ好きってのもあってか東映の癖の無い動物の動かし方が好きで、ポッピン族の下りはそれこそ「お前ら突然出てきて何好き放題言ってんねん」みたいなツッコミもありながらポッピン族の描写を見てるうちに「あぁ…これ東映感あってええな…」という気持ちにさせてくれた。
どの層に向けられた作品なのか
劇場を見た後、自分はこの題目について非常に悩んだ。確かに”東映まんがまつり”は子供に向けられた内容だが、コレを売りに出してるという事はプリキュアのように確実に子供だけをターゲットにした作品では無いのは明らか。そして、話のちゃちさから見て自分ら10代後半~20代では無いだろう。
結果として、自分は”東映まんがまつり”を経験したお父さん世代とその子供をターゲットにしたのかなぁという見解に至った。ただ、ここまで分かってて見る親子もそうそういねぇよなといった感じ。
東映アニメーション60周年記念作品として
東映アニメの歴史について語ると長くなってしまうのでそれはさておいて東映アニメ60周年記念作品としてポッピンQについて考えたい。
ところで、東映50周年は何してたっけな…と思い記憶を手繰ってみてもあまり印象に残ってないので調べてみたところ、今作のようにアニメを制作をしたりはしていないようだ。
ポッピンQの見所の一つに、やはりダンスCGアニメーションだろう。自分はプリキュアシリーズのED等でも東映のダンスCGの技術の高さはそこそこ理解していたが、今作は更に上回る凄さ。年を重ねる毎に違和感が消えていく技術面の進歩には脱帽だ。また音楽面でも、特に歌唱曲ではまさにビートを刻むと言った感じで、最近の流行りで言う”楽曲派”(あんまり意味を理解してない)ってとこ。(高まるという事だけ理解して頂ければ大丈夫です。)
そんな意味でも、60周年記念という機会を通して、ダンスCGの技術面を強調しつつ、2010年代はアイドルアニメの時代である事を暗示するかのような設定に祝杯をあげたい。
でもやっぱり面白くはない
この映画に点数をつけるなら、60点かな。結局の所、面白くはない。
テンポ悪いし、ご都合主義多いし、女の子達なんか普通に理不尽な仕打ち受けてるだけだし…。
ただまぁ、クリエイターが凄く楽しんで作ったんだなぁという気持ちは明白に伝わる上に、お父さんへ向けられた何とない懐かしさみたいのを味わえて50点に10点加点した、みたいな。
まぁこんな言いようですが、続編やる可能性あるらしいんでほんのちょっぴり期待しておきます。